アコースティックギター・メンテナンスガイド

< 上級編 > ☆ギタープラネット定期点検について

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目次 / ピットイン・シート(点検カルテ) / ナット溝チェック / フレット摩耗チェック / サドルの摩耗チェック / ボディー全体のチェック / ブレーシング(力木)のチェック / 弦高チェック / ネックの反りをチェック / トラスロッド調整 / トップ板・ネック仕込角度チェック

※定期点検サービスの実施(無料)

この度は、当店にて楽器をお求め頂きまして誠にありがとうございます。
楽しい音楽ライフのスタートを、今後もお客様と共に歩みサポート致しますので、末長いお付き合いをどうぞ宜しくお願い申し上げます。

当店にてお求め頂きました楽器に関しまして、無料の定期点検を実施致しております。
初期点検(ご購入後1ヶ月)をはじめ、季節に応じた3ヶ月ごとの定期点検により、お客様に安心して楽しんで頂けますよう、専門のスタッフが対応致します。

トラブルを未然に防ぐ『健康診断』として、また、『楽器は生き物』という認識のもと、お客様と共に良い楽器を育てていけますように、スタッフ一同願っております。
万が一楽器に不具合を発見した場合にも、一流のリペアマン達により最善の方法で対応致しております。
良いコンディションで末永くご愛用頂けますよう、是非ご利用下さいませ。

※無料定期点検サービスは、基本的に期限はございません。調整・リペア内容により有料の場合もございます。(パーツ交換、修理等。)
詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さいませ。

ピットイン・シート(点検カルテ)

ピットイン・シートの画像

ご購入時、定期点検の際お客様に現状のコンディションを記入したカルテをお渡しいたします。
弦高、ネックのバランス、トップ板のコンディション、ナット・サドルの消耗、楽器内部の湿度など...etc.
また、必要に応じてナット・サドルの調整や、ネックの調整等の詳細を記入します。リペアが必要な場合には、その原因と対策を追求し、適切な対応を致します。

3ヶ月ごとの定期点検を行うことにより、お客様の使用環境、楽器の変化のデータを蓄積し、より的確なアドバイスが出来ます。
お客様自身にも、愛用されている楽器の性格や特徴を把握していただける機会となります。

ナット溝チェック

弦の摩擦により、意外にも摩耗の早いナットの溝。
適正な高さが無いと、開放で弦を弾いた時にビビリが出てしまいます。
また、初期設定時には必要以上に高くセッティングされている場合もありますので、状況に応じて微調整します。

一般的な適正値の目安は3フレットを押さえたときに、1フレットと弦の隙間をチェックします。
名刺などの薄い紙が1枚入る程度が理想的で、フレットにピッタリくっついてしまうと、ほとんどの場合開放でビビリが発生してしまいます。早期の交換をお勧めします。

ナットの素材には、牛骨、象牙、マンモスの牙、タスク、デルリン、エボニー等、一言でいっても様々な素材が存在します。サドル同様に弦の振動をボディーに伝達する重要なパーツなので、音色にも影響します。ここはこだわりたいところです。
初期設定では牛骨か、タスクが使用されていることが多いようですが、チューンアップの意味も含め、目的に合った素材をセレクトしましょう!!

フレット摩耗チェック

ナット・サドル同様に消耗パーツであるフレット。
摩耗が原因でビビリが生じたり、音づまりや著しいサスティーンの低下など、様々な症状が出てきます。弾き心地や音色にも直結する部分なので、こちらも念入りにチェックします。
また、フレットの錆び具合によって使用環境の湿度を推測する判断基準の一つにもなります。(もちろん錆びてしまったフレットは当店にて綺麗にクリーニングします。)

フレットが消耗してしまった場合、2通りのリペア方法があります。

(1)すり合わせ

減ってしまったフレットの底面に合わせ、全体の高さを削って揃える。減りが比較的少ない場合に有効。削りが大きいとフレット全体の高さを変えてしまうためプレイアビリティーに影響を及ぼす。

(2)打ち換え

消耗が多い場合に基本的に行う作業です。
減ってしまった部分交換も可能ですが、原則全体の交換を行います。

一般的には数年間使用した後に行うリペアですが、使用頻度が関わってきますので、個人差があります。

全体交換が原則の理由は、経年変化により(特に新しい楽器)指板の状態が変化しますので、細かなバタつきや歪みなどを、全てのフレットを抜くことにより修正ができます。

【注】適正ポジションを取るため、ナットも同時に交換します。ナットを交換したばかりでも新しく交換してしまうので、無駄になってしまう場合があります。フレット交換・ナット交換をご検討されている方は、スタッフまでご相談下さい。

サドルの摩耗チェック

新品のサドルには溝はついていません。
しばらく使用していると弦のテンションに押されて少しづつ溝が付いてきます。

少しの溝は問題ありませんが、えぐれたように溝がついてくると様々な不具合が生じます。
ピッチが安定しない。弦が切れやすい。サスティーンが無くなった。音が濁るなど・・・。

ペーパーがけなどを定期的に行い、クリーニングします。状況によっては交換が必要な場合があります。
特にタスク等の人工素材は柔らかく、加工がしやすいというメリットの反面消耗も早いので、こまめなメンテナンスが必要です。

【補足】ナット同様に素材の種類が多数あるので、音質にこだわるパーツの一つです。
一般的にはナット材とマッチングにする事が多く、交換する場合は合わせて検討しても良いでしょう。

ボディー全体のチェック

細かな部分を念入りにチェックしていきます。
板の割れが無いか?塗装の変化はないか?特にラッカー塗装はデリケートで、湿度などの環境変化で目痩せ(塗装が縮み、木目が浮き上がること。)が生じたり、ウェザーチェック(ヴィンテージギター等に良く見られる塗装のクラック)が生じたり、ある程度の使用環境の判断にもなりますので、念入りにチェックします。

その他にもバインディングの収縮、ブリッジの剥がれ、ネックジョイントの剥がれ、ピックガードの剥がれ等をチェックします。

ブレーシング(力木)のチェック

裏板、表板共に触診でブレーシングの剥がれがないかチェックします。
楽器を傷つけないように、細心の注意を払いながら軽くノックするようにチェックしていきます。

剥がれの原因は、やはり環境の変化等(気温・湿度変化)で接着剤が緩み、新品でも剥がれが生じてしまう場合がありますので、ここは念入りにチェックしていきます。
問題箇所が見つかると、異音がしますのですぐにわかります。(判断には多少の慣れが必要です。)

判断が難しい場合は、専用のヘラを使用して、ギター内部から診断します。

ブレーシングの役割は支えも勿論ですが、ボディ全体に弦の振動を効率よく伝える伝達回路でもあります。不具合があると音色にも大きく影響が出てしまいますし、放っておくと楽器全体が歪んでしまう事があります。
早期発見、早期治療がベストなリペアと言えます。

弦高チェック

ここでは12フレット上の弦高を測ります。
計測基準はフレット上から、弦の下までを測ります。

例えば、Martin Guitar初期出荷時の弦高を基準とすると、
6弦 → 2.5㎜~2.7㎜
1弦 → 1.8㎜~2.0㎜
が基準となります。
オールマイティーでフィンガー&ストロークを問わないセッティングとなります。

弦高のセッティングは個人のプレイスタイルにより詰めていくもので、絶対的な数値はありません。
一般的にはハードストローカーは高め、フィンガースタイルでは低めにセッティングをとります。この設定が合っていないと、弾き心地に違和感があったり、満足のいく音色が出なかったりデメリットが生じます。
自分自身のスタイルを分析・理解して、ベストなセッティングにしましょう。

弦高に変化が見られる場合、様々な原因が考えられます。

  1. ネックの反り
  2. トップ板の膨らみ又は落ち。
  3. ナット&サドルの摩耗。
  4. ネック仕込み角度の変化。

このように色々な原因が考えられますが、弦高チェックを行う事によって他の部分の変化や不具合が推測できます。楽器のいろいろな部分の変化が影響して弦高の変化として表れます。

ネックの反りをチェック

ネックに反りがないかヘッド側からチェックします。
ヘッド側から見ることで、同時に14フレット以降ボディ上のフィンガーボードに歪みがないかもチェックします。また、フレットのバタつきもある程度判断する事ができます。

フレットのバタつき(特定のフレット浮き)があると、部分的にビビリが生じてしまったり、音詰まりの原因にもなります。目視で判断しづらい場合には、15㎝程のスケールをフィンガーボード上にあて、LowフレットからHighフレットに向かってスライドさせていきます。このとき問題があれば、スケールが浮いているフレットに当たりますので、すぐに判ります。

トラスロッド調整

反りが発覚した場合専用のトラスロッドレンチを使用し、調整をします。
メーカーによってレンチのサイズが異なります。

また、一般的なクラシックギター、MartinギターのSQロッド、Tバーロッドなどは、この方法では調整できません。
このようなネックは、反ってしまった場合アイロン矯正という特殊な方法で反りを直します。

いずれの方法でも、ある程度の調整経験が必要ですので、出来るだけご自身では調整せず、プロショップのスタッフに任せましょう。
※ロッドのポジションは、弦高バランスにも関わりますが、基本的に弦高調整の為には調整しません。重要なポイントは音抜けのバランスに関わりますので、専門スタッフに依頼しましょう。

トップ板・ネック仕込角度チェック

調弦されたまま保管していたり、温度・湿度の環境変化によってトップ板やネックのコンディションは変化を起こしやすい部分です。
ここでは専用の器具を使用してズレを計測します。

そこでついに登場するのが、ギタープラネットならではの秘密道具『村山工房スケール』の出番です!!
Martinギターをはじめ、アコースティックギター専門リペアマンとして日本国内でも大変有名なリペアマン村山氏に作成して頂いた特別な道具です。
Martinギターの設定理論値を基に製作されたオリジナルスケールで、ネックの仕込み角度や、トップ板の浮き沈みの状態が計測できます。(Martin以外にも、Gibsonや国産ギター、それぞれのメーカーにも対応できます。)
村山工房さん直伝のものですので、全国どこのショップにもこの道具は置いていません。もちろん、販売もしていません!!
その一流リペアマン村山氏より受継いだ道具を使い、適正な理論に基づいた点検サービスを行っているのも、ギタープラネットならではです。

【最後に・・・】

以上で基本的な点検の流れになりますが、楽器によって細部までチェックする内容は異なります。
例えばピックアップを搭載された楽器は、常にバランス取り等のメンテナンスが必要になりますし、既に修理を施しているものなど、修理後の経過をチェックしていく必要があります。

ギターは天然素材で生み出された生きた楽器です。1本1本が異なる性格を持ち、付き合い方もそれぞれ違います。お客様1人1人がその個性に共鳴し、感動を覚えて手にされたギターだと思います。
わが子のように成長し、鳴りが良くなっていく楽器を生涯愛用していく事は、とても楽しいものです。
そのためにお客様に少しでもそのお手伝いができたらと、ギタープラネット・スタッフ一同心より願っております。

楽器選びも勿論ですが、ご購入後のアフターサービスも是非ギタープラネットをご利用下さいませ。今後とも宜しくお願い申し上げます。

末永く、皆様の生活が豊かなものでありますように・・・。

【ギタープラネットで利用できるリペア工房】

※自社工房をはじめ、リペア・調整の内容に適した最善の工房にて対応致します。
黒澤楽器店グループ自社工房、村山工房、今井工房、沖田工房、皆川工房、黒岡工房、各メーカーリペア工房(Martin、Gibson、Headway etc…。)

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