アコースティックギター・メンテナンスガイド
< 初級編 > ☆お気に入りのギターを手に入れたら・・・
弦の交換について
メンテナンスの基本は弦交換から!!
意外に消耗の早い弦。直接指が触れる部分でもあるので、サビて滑りが悪くなったり、切れてしまう事も珍しくありません。マメな交換をお勧めします。
平均的には1~2週間、長くても1ヶ月に一度は交換しましょう!!
張りたての新鮮な弦は弾き心地も音色も気持ちの良いものです。
弦の種類も様々で、太さや性質が異なりそれぞれの特徴があります。
代表的なメーカーは、『マーティン』、『ダダリオ』が主流で最も人気があります。
その他にも特殊なコーティングが弦の表面に加工された『エリクサー』が人気です。この弦は錆びにくく張りたての響きが長く続きます。
弦の太さは、
- エキストラ・ライトゲージ ・・・・・・(細い&やわらかい)
- カスタム・ライトゲージ ・・・・・・・(やや細め&ちょっと柔らかめ)
- ライト・ゲージ ・・・・・・・・・・・・・・(基準)
- ミディアム・ゲージ ・・・・・・・・・・・(太い&硬い)
が主流です。
性質の違いは、80/20 BRONZE、PHOSPHOR BRONZEの2つのタイプがあります。
前者は銅80%に対しスズ20%の合金の比率を表し、アコースティックギターの弦としては最もポピュラーなタイプです。後者はそのブロンズ弦に、少量のリンを加えることで、寿命が長くなり、ブライトな倍音が得られる弦です。
弦の色も特徴があり、すぐに見分けることができます。80/20 BRONZEが金色に対し、PHOSPHOR BRONZEは赤みかかった色です。
弦を選ぶポイントは、まずギターに合った太さを決めます。また、弾き心地や音色にも大きくかかわりますので、お店のスタッフに相談してみてください。
太さが決まったら、ギターを正しいセッティングに調整しましょう。(弦高、ネックポジション)
いろいろなメーカーを試してみると、それぞれの特徴がわかるので面白いですよ!
是非、自分に合った弦を探し出して下さいね!!
クロス
弦交換と合わせて楽器本体もきれいに磨きましょう。
意外とこの作業が楽器の異常を見つけるきっかけにもなりますので、出来るだけ念入りに、愛情を込めて磨きましょう。
大切な楽器を永く気持ちよく使っていく為には不可欠です。
クロスにもいろいろと種類がありますが、最近ではマイクロファイバーなどの極細繊維を使用した物もあり、デリケートな塗装を傷めないための工夫がされています。
繊維の目が粗いタオルやハンカチなどを使用すると、鉄粉や埃が原因で塗装に傷が付いてしまう場合があります。出来るだけ楽器専用のクロスを使用することをお勧めします。
ポリッシュ&レモンオイル
ギター用クロスと合わせて持っておきたいアイテム!
ギターポリッシュは塗装に付着した汗などの油分を落とすために効果的です。
基本は乾拭きしますが、少量のポリッシュをクロスになじませて拭き上げるとより綺麗になります。水に近い成分で塗装に優しいものが安心ですが、シリコンなどのワックス効果が含まれたものもあるので、塗装との相性を考慮して選びましょう。
(例えば、マット仕上げのギターの場合、ワックス効果のあるポリッシュを使用すると光沢が出てしまいます。)
『しまった!!』ということにならないように、購入する前にショップスタッフに相談すると良いでしょう。
塗装面のケアに使用するポリッシュに対し、フィンガーボード(指板)やブリッジ等の無塗装部分に必要不可欠なオイル。レモンやオレンジなどの天然素材を原料にしたものが多く、木材の保湿や汚れ落としに優れた効果があります。
特に冬季の乾燥が原因で、フィンガーボードやブリッジが割れてしまうトラブルがあります。適度な湿度を保つために、定期的に塗ってあげましょう!
湿度・温度計
適切な管理の基本は、自宅の環境を知ることからです!
アコースティックギターは、天然素材の木で作られた生き物だということを認識してください。特に温度変化や湿度変化には思いのほかデリケートです。
1年間の四季を通して、特に湿度の高い梅雨の時期や、真冬の乾燥期には要注意です。
次項で具体的な対策をご案内致しますが、楽器にとって快適な環境をまず覚えましょう。
理想的な湿度は50%前後。40%~60%の間で推移していることが望ましいでしょう。
そこで目安として便利なアイテムがデジタル湿度・温度計です。
最近のものはMAX値とMIN値がプリセット出来て、一日の湿度変化の幅が一目でわかるような機能が付いたものも多く、サイズもコンパクトで使いやすいです。
環境改善や、湿度対策の目安として大変重宝するアイテムです。
必要以上に神経質になることはありませんが、ちょっとした気遣いだけで楽器のご機嫌も保てます。案外、自分たちが過ごしやすい湿度環境と変わらないので、適切な対策をとる事でご自身やご家族の健康のためにも良いですよ!
湿度調整剤・安定剤
前項でご案内した湿度計と合わせて使用していただきたいアイテムです。
ギターケース(ハードケースが望ましい)に入れておくことでケース内部の湿度を理想に保ってくれます。まずはお部屋の環境改善が望ましいですが、1年中使用することができるので、管理のサポートとして是非使用していただきたいものです。
湿度安定剤は、湿気を吸う効果と、吐き出す効果を兼ね備えています。ある程度湿度計でお部屋の環境を把握したら、それぞれの用途に適したものを選ぶと良いでしょう。
小さな袋に入ったシリカゲル系と、薄いシートタイプのものが主流です。
それぞれ使用方法が若干異なりますので、詳しくはショップスタッフへお尋ねください。
※こんなものもあります。
これは、ダイレクトにギターに湿度を与える専用の加湿器です。
ギターのサウンドホールに直接はめて使用します。
青い部分がスポンジになっていて、水に浸して使用します。
水分を吸排出するシート部分に医療用のオムツ素材を使用し、体積に対してなんと約40倍もの水分を吸ったり吐いたりする機能があります。
主に冬の乾燥機に使用する器具ですが、即効性が強く大変効果的な反面、使い方を間違えると加湿しすぎてギターがふやけてしまう恐れもあります。
使用するときは、ショップスタッフに必ず相談しましょう。
ピットイン・シートサービス
さて、ここまで具体的なケアグッズのご紹介をしてきましたが、どなたでも簡単にできる実践として、ケア方法をいくつかご案内しましょう。
- ギター保管三箇条
- 一.弾かない時に、弦は必ず緩めましょう。
- 二.ケースの中で保管しましょう。
- 三.時間があれば、とにかく弾いてあげましょう。
弦を緩めるのは、ネックの反りや表板の変形を抑える意味があります。
皆さんが想像している以上に張った状態の負荷は大きく、レギュラーチューニングの時で約70kg以上の力が加わっています。大人の男性が一人ぶら下がっていると想像してください・・・。外したくなりますよね?!
ケースに保管する意味は、転倒や埃から楽器を守ることと、急激な温度や湿度の変化に対してワンクッション置く事が出来る意味があります。一緒に湿度安定剤を使用すると尚良いでしょう。
あとは時間が許す限り、とことん楽しく弾きまくりましょう!!
ふだんから接していることで、異変があればすぐに気づくものです。
以上が最低限度、ご自身で実施していただきたいケアです。
演奏テクニックの向上と、良い楽器を育てるために頑張ってください!!
ギタープラネットでは、お買い求めいただいた後の総合アフターケアを重視しています。
お客様と末永くお付き合いさせて頂きますよう、また、お求めいただいた楽器を育てるお手伝いをさせて頂いております。
四季を通じて3ヶ月に一度の健康診断を、生涯無料で実施しております。
特に夏・冬は急激に環境が変化しますので、点検をお勧めします。
定期点検の際、『PIT IN SHEET』というカルテをお客様にお渡ししています。
カルテには細かく楽器の設定値や、点検の内容、対処方法、問題箇所を記入し、改善策をアドバイス致します。
3ヶ月ごとに実施することで、ご自宅の環境や、楽器の性格がよりわかるようになり、適切な管理がご自身でも出来るようになります。
常にお客様が安心して楽しんでいただけるように、ギタープラネットでは適切なアドバイスができるよう心がけております。
<最後に・・・>
『メンテナンス初級編』いかがでしたか?
以外にも楽器のケアは手間がかかるかもしれません。でも、ギターは自然の素材から生まれた楽器です。せっかく気に入ったギターに巡り合えても、これからの付き合い方で音が成長して愛着が増すのも、壊れて後悔なんてことになってしまうのも、ユーザーのあなた次第です。
一番大切なことは、人でも物でも愛情を注ぐことです。そうすればきっと相手も応えてくれるはずですから!!
末永く、快適で楽しいギターライフを送りましょう!!